【連載 第3回】会社員の道を絶ち、サッカーの世界に戻ろうと決めた駒澤大学高校サッカー部・大野監督の教え

強豪校・駒澤大学高等学校サッカー部。部員270人の大所帯チームを率いるのは、16年に就任19年目を迎える大野祥司監督だ

田中瑠子| Photo by masakazu kawaguchi|シリーズ:高校サッカー部探訪記

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「5年で全国大会に行く」と宣言。失笑されてもがむしゃらに指導に明け暮れた

 サッカー部の監督に就任した当時、部員たちの身だしなみは乱れ、挨拶もせず「これは指導しがいのあるチームだと思った」と振り返る。

「OB会で『5年で全国に行く』と言っても誰も本気にしてくれず、3年目にベスト8、4年目にベスト4までいってようやく、周りの見る目が変わってきました。就任してから、まず部員に伝えたのは、『勉強と挨拶はしっかりやれ』ということ。

勉強に集中する力、苦手なこと、不得意なことに耐える力は、サッカーに必ず役立ちます。うちのサッカー部は、強い選手をスポーツ推薦で集められるチームではないので、『サッカーで通用しなくても社会人として生きる力につながる』ことも大事だと思っていました。

実際に文武両道を生徒に課すと、試合での集中力が一変。粘り強く走り続ける力も格段に上がっていきましたね」

さらに、組織としての「集団力」を高めるために、部内にさまざまな係を作り、メンバー全員に役割を与えることを徹底。トップチームでも1年生のチームを応援しに行くなど、「駒澤大学高校サッカー部」として自覚を持てるような行動を課しているという。

「集団力を意識し始めたのは、ベスト4まで進んだあとに数年間伸び悩み、何が足りないのか考えるようになってから。他の強豪チームを研究し、まとまる力の大切さに気付いたのです。以来、サッカーの技術的な指導のほか、組織作りにも注力。今では、応援の一体感は、日本一レベルだと自負しています」

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