【ユース教授の目】高校1年生ながら先発出場するFC東京の若き才能・平川怜の存在感とは何か

1年生ながらFC東京U-18のボランチとして、冷静かつ積極的なプレーを見せるMF平川怜。U-16日本代表でも攻守のバランスを支える彼が、決勝でも大きな存在感を放った

安藤隆人| Photo by 木鋪虎雄 Torao Kishiku

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僕は予測するプレーをするタイプ

将来のFC東京を担う才能を備える平川怜 Photo by Torao Kishiku

 だが、伊藤に対して味方のMF生地慶充が寄せに行こうとアクションをしたのを見て、判断を変えて猛然と自陣へダッシュ。その目的は、生地が前に出たことで空いたスペースを埋めるため。

 すると伊藤が左サイドのDF伊藤研太にパスし、そこからDFラインの前のスペースにダイアゴナルランをした選手にクサビを打ち込もうとした瞬間、すでにそのスペースに蓋をしている平川の存在に気付き、攻撃のスイッチを入れるパスをあきらめ、バックパスを選択した。

 何気ないプレーだが、プレッシングからの連動をしたフリーランニングとポジショニングは、高い危機察知能力と俯瞰で状況を捉えられる彼の高い能力が凝縮されていた。

「僕は予測するプレーをするタイプなので、瞬間的に身体が動きました」と語ったように、その動きは非常にスムーズで、ハイクオリティだった。

「ボールを奪いに行くプレーは出せるようになってきました。攻守の切り替えは凄く大事にしていて、ボールを奪われた瞬間に自分がきちんと相手に寄せて行けるか。そこの質を上げたいし、もっと攻守において迫力あるプレーをしないといけないと思っています」。

 1年生とは思えない頭のキレの良さと落ち着き。FC東京U-18の8年ぶりとなった優勝の裏には、将来のFC東京を担う若き才能の、渋く光る好プレーが散りばめられていた。

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