【静学スタイルの真髄】メッシやネイマール、C・ロナウドから学べ。 元サッカー部監督・井田勝通の教え!

近年、世界のサッカーのトップを走っている3人の選手がいる。クリスティアーノ・ロナウド、メッシ、ネイマール

井田勝通| Photo by Editor|シリーズ:【静学スタイルの真髄】

スポンサーリンク

■3人に共通する“天才たるゆえん”

 3人に共通して素晴らしいと思えるのは、サッカーをつねに楽しんでいること。ゲームそのものを必死で戦いながらも、楽しみながらプレーできる。苦しい中でも喜びを絶えず感じながらボールを蹴れる選手というのは、なかなかいない。それが天才たるゆえんだ。

 さらに付け加えると、味方を上手に使えるし、自分だけを光り輝かせようというエゴが一切ない。試合の中で平気で遊びつつ、ある時は黒子になってチームメートの特徴や個性を際立たせる。

 そういう幅広い顔を見せられるのが、真のスーパースターということになる。そのあたりは、「必死決死」が前面に現れている日本のサッカー選手とは全く違うと痛感させられる。

 Jリーグを見ていると、2015年J1第1ステージチャンピオンの浦和レッズでも、常勝軍団と言われる鹿島アントラーズでも「必死感」がこれでもかというくらい伝わってくる。ある意味、悲壮感と言ってもいいかもしれない。スピーディーな展開の中でも少しプレーを止めて、相手をおちょくって、かかとを使いながらボールを蹴ると言った要素は、サッカーの中ではすごく大事だけど、日本人は滅多にやろうとしない。ひたすら真面目にボールを追いかけ、ゴールに向かって、勝ちばかりを真っ直ぐに追い求めている。

 だけど、本当に大切なのは、サッカーをやる人、見る人が「どうしてこんなプレーができるのか」と驚いたり、ため息をついたり、衝撃を受けたりすること。

 意外性や創造性こそ、サッカーの本質だ。それこそ、サッカーは芸術と創造と同じである。直線的な動きの中にも、うまい具合に止めるプレーを盛り込めるロナウド。こんなトリックは一体、どうやって編み出しているのかと、見る者を惹きつけるメッシ。相手のすねあたりにボールを浮かせて、タックルを回避しながら巧みなドリブルを見せるネイマール。

 そういう選手が結集しているスペインの2大クラブは、やはり特別な環境だ。まさに銀河系と言っても過言ではない。彼らがなぜ銀河系で居続けられるのか。それは、自分の命を懸けても、トップ選手にふさわしいパフォーマンスを見せようという誇りと自信をつねに持っているから。

 10億円の年俸をもらっているなら、その価値に見合ったプレーをしないといけないという強い意思があるからだ。やはり一番大事なのは、心なんだ。

1 2 3 4
PAGE TOP ↑