[高校サッカー 心を揺さぶる物語]フリーキックに魅せられて <後篇>

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by |シリーズ:[高校サッカー 心を揺さぶる物語]

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■決勝戦でのフリーキック

 打倒・京堂!
 僕らはこの思いを胸に、選手権予選に挑んだ。

 決勝まで僕らは順当に勝ち上がったが、フリーキックを蹴る場面は、準決勝での一度だけだった。直接ゴールしたけれど、味方のオフサイドの判定でノーゴールとなってしまった。

「これは神様が〝決勝で決めろ〞と言ってくれているんだ」
 そう受け止めていた。
 
 決勝の相手は、やはり京堂だった。
 新人戦決勝、インターハイ予選決勝、僕らはこれまでの対戦ですべて負けていた。

 舞台は整った。最後の最後は俺たちが勝つ!
 チームのモチベーションも高まっていた。
 決勝戦は、こう着状態が続いた。
 前半終了前のことだった。

「ピィーーーーーーー!」

 チームメイトが倒されて、主審の笛が鳴った。僕は真っ先にボールを拾った。
 位置は、相手ゴール前のペナルティエリア左側。

「角度もそれほどないし、ゴールまで少し遠いかもしれない」

 ゴールを狙うには位置が悪かったので、味方にボールを合わせようと思いながら、ボールをセットした。
 ゆっくりと助走に入ると、相手のゴールキーパーが奥のほうに位置をずらしたのが見えた。

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