[AFC U-16選手権インド2016メンバー発表記者会見] 森山佳郎U-16日本代表監督コメント

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■経験が選手を伸ばすのでまずはそこです

――この世代で鍛えなければいけない部分は何でしょう。
「経験が選手を伸ばすのでまずはそこです。いくら経験を大事にしていても、突破して世界の舞台に立たせないことにはそれまで。理想はありますけれど、予選は何が起こるかわかりません。今までは強化合宿で個人にフォーカスしながら、例えば攻撃の選手は『オレが決めるんだ!』という意識、中盤の選手の細かいポジショニング、個人戦術の部分。それにサッカー理解、後ろの選手も前にでるなど。だからといって個人で守れるかと言えば、まだ全然できていません。ただ当然、最終予選でそれを大事にしても負けたら話になりません。
 置かれた状況下で選手がどのように判断して、どのようにピッチの中で解決していくか。インドは環境も悪いし、グラウンドもかなり悪い。その状況で完全に引く相手、あるいは削りにくる相手がいるかもしれません。パワープレーでロングボールを蹴ってくるチームもある。それを彼らは経験したことがない。ピッチの外からは言えますが、声だって聞こえないかもしれない。だからこそ試合でも、前半が終わったら全員で話をさせたり、修正を加えながらピッチ中で解決させたり、ビデオを通じて自分たちで解決法を編み出すことなどを言ってきました。選手には『自チームに戻っても、1年生だろうが中心としてチームを引っ張れ』とも伝えました。そこでチームを良くする存在になれと言ってきた。
 サッカー理解や問題解決能力、サッカー選手としての自立は日本サッカーの課題。そこはぜひやってほしいところですね。特にグラウンド面。日本は人工芝があり、世界のどこに行ってもこんな綺麗な芝でできることはない。
 そのようなところでやっている選手がいつものように綺麗に繋いでいたら、それで負ける可能性もある。当然、理想としてやろうとするけれども、グラウンド状況や相手の意図、ボールの状況、状況を判断しながら空いたスペースを見つけたり、フリーの選手をうまく使ったり、状況判断をできる選手になってほしい。この時間帯はどうする、このゾーンはどうする。今は勝っている、負けている。そこでプレーを変え、判断を変え、お互いに伝え合える。そこまでできるようになってほしいと思います」

――FW陣はどのような選手たちでしょうか。
「それぞれ個性は違います。この年代では今のところこの5人。山田のコンディションはまだ心配な存在ではありますが、A代表で言えば浅野(拓磨=シュトゥットガルト)のようなスピードのある選手が少ない。
 山田はスプリンタータイプで背後に抜け出すスピードがあり、狙いに応じて起用できる選手です。棚橋(尭士=横浜F・マリノスユース)は一時期伸び悩み、呼ばなかったこともありました。その中で自分なりに考え、工夫してやってくれて戻した時に大爆発してくれました。鹿児島キャンプでは素晴らしいゴールを2発決めています。体格的には不利ながら相手を外す動きの工夫があり、生き残る術を見つけようとしている部分を評価しました。中村(敬斗=三菱養和SCユース)はまだボールを受ける前のアクションは足りない部分も多いです。それでもシュートは大人の中に入れても十分通用するような右足で、キックの威力を持っています。
 彼がシュートを打つチャンスがあれば、ペナルティーエリアの外からでも決められる。相手が引いた時に遠目から打てるところは彼の良さ。宮代(大聖=川崎フロンターレU-18)もそんなに大きくはないものの、ターゲットとなる他の選手にはないものを持っています。川崎フロンターレでは中学3年生から試合に出ていて、今も1年生でレギュラー。他の4人にないボールの収まりがあり、マークを外してフリーで背後に抜け出す動きもできます。平均値はかなり高い。彼も体格がいいわけではないので、今後プロとして活躍するにはもっともっと高めないといけないと思います。ただ今の時点で総合力的は一番ある。
 久保(建英=FC東京U-18)は本当に純粋なサッカー小僧です。現代の日本人選手が失いかけている貪欲さ、ボールを受けたら仕掛ける姿勢、ゴールに向う姿勢を持っている。技術、戦術はいろいろとあるけれども、そういうサッカー小僧的な選手はもっと増えてほしい。そういうことを思い出させてくれる選手です」

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