[高校サッカー 心を揺さぶる物語]155cmのゴールキーパー-後篇-

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by Editor|シリーズ:[高校サッカー 心を揺さぶる物語]

スポンサーリンク

■ボールは僕の頭上を越えていった……

 追いつかれたことで僕たちは動揺していた。そして、その隙を相手は見逃さなかった。

 1‐2。
 僕たちはついに逆転を許してしまった。

「もう絶対にこれ以上ゴールは割らせない」

 リスク覚悟で攻め上がっているみんなの姿を、一番後ろから見つめて、僕はそう強く思った。
 
 だけど、このとき僕の覚悟は「気負い」に変わっていたんだ。
 今でも頭から消えないあのシーン。

 延長戦後半も残りわずか。
 相手選手がセンターライン付近でボールを持った。

 次の瞬間、少し前に出ていた僕のポジショニングを見て、ロングシュートを打ってきた。
  ふわりとした緩やかなボールだった。

「よし、このくらいのボールならトラップができる!」

 ボールをキャッチする時間も惜しくて、すぐに攻めたかった。だから、胸でトラップして、そのまま味方にパスを出そうと思って前に出た。
 だが、目の前でボールが大きくバウンドし、イレギュラーな変化をした。

 自分の判断が間違いであったことに気づいたときには、すでに手遅れだった。
 慌てて戻ったが、ボールは僕の頭上を越えていった……。

1 2 3 4 5 6
PAGE TOP ↑