[高校サッカー 心を揺さぶる物語]離島にやってきた熱血コーチ-後篇-

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by Editor

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■優勝を決めた後のインタビュー

 僕も社会人になって、自分の思い描いていた世界と現実が違うことに葛藤することがある。ケンジを自分に置き換えてみたら……。

 当時のケンジの気持ちが痛いほどわかった。
 今だからこそ感じる貴重な時間。

 ケンジはサッカーが大好きで、鬱陶しいくらいのおせっかい焼きで、僕らのことを想ってくれていた。

 ケンジが率いる宮寺高校は、準決勝を勝ち上がり、決勝でも勝利した。
 そう、驚くべきことに、全国制覇を成し遂げたんだ!

 選手と一緒になってサッカーばかりしていた熱血漢が、日本一の監督になった。
 僕は素直に嬉しかったし、本当にすごいと思った。

 でも僕らの間では、ケンジへの対応はそれほど変わってない(笑)。
 優勝を決めた後のインタビューを、当時の仲間と見ていて、「おいおい、何こんなに真面目に話しているんだよ!」とみんなでテレビに突っ込みを入れた。

 戦術のこととか、選手育成のことも語っていて、「監督っぽくなった!」とみんなで話していた。

 ケンジについて話すとき、みんなが笑顔になった。
 あのころを思い出して懐かしんで、ケンジの活躍を自分のことのように喜んでいた。

 たぶん、日本一の監督になったとしても、ケンジは今も変わらず、生徒たちのことを大事にして、大好きなサッカーに携わっているんだろうと思う。

[おわり]

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