久保ら攻撃陣だけでない、U-16代表の特筆すべき守備力。瀬古と菅原が示したタフさと闘志

準々決勝を前に、森山佳郎監督がこう予想した通り、大一番の日本は非常に苦しい戦いを余儀なくされた

元川悦子| Photo by 佐藤博之 Hiroyuki Sato

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■瀬古と菅原。戦うセンターバックコンビの闘志で勝ち取った無失点

 そこで、しっかりと率先して体を張り、積極果敢に相手攻撃陣の前に立ちはだかったのが、瀬古と菅原由勢(名古屋ユース)のセンターバックコンビだった。小林友希(神戸U-18)の負傷、監物拓歩(清水ユース)のスピード対応の不安という部分が重なって、2人が大一番のピッチに立つことになったのだが、彼らはあうんの呼吸で最終ラインを統率。4試合連続無失点勝利、2大会ぶりのU-17W杯出場権獲得へとチームを導いたのである。

「中1で初めて出会って3~4年くらい一緒にやってきたんですけど、オフの面でも2人は気が合いますし、サッカーの面でもお互いやりたいことが分かっている。今回は僕がセンターバックで出るとは正直、思ってなかったけど『俺らだったら絶対できる』と。結果として0点に抑えて勝つことができた。僕らは一生続く仲かなと思っています」

 菅原はベストパートナー・瀬古との良好な関係を前向きに説明していたが、森山監督も彼らに絶大な信頼を寄せていたのは間違いない。「今日はあの2人がホントに素晴らしかった。パーフェクトだったんじゃないかな」と指揮官自身が公の場で大絶賛したことからも、両DFとの強い絆が色濃く伺える。

 実際、菅原と瀬古は「ファイティングスピリッツ」という森山監督の哲学をピッチ上で体現しようとしている選手の筆頭である。槙野智章や柏木陽介(ともに浦和)ら先人たちも薫陶を受けてきた「気持ちには引力がある」という指揮官の名言を常日頃から体全体に刻み込んで、彼らは相手に挑んでいるのだ。

「僕は昨年2月(立ち上げ時)からこの代表に入ったんですけど、戦う姿勢の全部が1から変わりました。それを継続してやるうちに、無意識というか習慣になって、それがチームでも出るようになった。『気持ちには引力がある』というのは、その時からたっぷり注入されていると思います」と菅原はしみじみと言う。

 一方の瀬古も「すごくタフな試合だってけど、最後は気持ちでゼロに抑えた」とメンタル面が最大の勝因だったことを強調した。

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