昌平高校で実施された松本泰志選手のサンフレッチェ広島加入内定発表会見。
Photo by 平野貴也 Takaya hirano

　松本は、今夏の全国高校総体（インターハイ）で昌平高の4強進出に大きく貢献。大会優秀選手に選出された。活躍が広島強化部の目に留まり、準決勝敗退後は埼玉に戻らず、そのまま大会開催地だった広島に留まり、サンフレッチェの練習に参加した。この日の入団会見では、冒頭のあいさつで、緊張のあまり「入団が加入しました、松本です」と言い間違えて高校生らしい初々しさを見せたが、広島で参加した練習や練習試合では、堂々としたプレーぶりで評価を高めた。

　スカウトを担当した広島の村山哲也強化担当は「準決勝の翌日から練習に参加してもらったが、（連戦の後で）コンディションが良くない中でも、左右の差がなくキックをコントロールできる高い技術を持っていた。トリッキーなアイデアやワンタッチパスで局面を変えるなど前線でプレーに変化をつけられる能力に長けている。練習参加初日に行った2対1からGKとの1対1に持ち込むシュート練習では、ほとんど決めた。特に左から持って（中央に）入って右足のインサイドでファーサイドへ流し込むシュートは、ほぼ決めていた。自分のスタイルというか得意な得点の形を持っていることが印象に残っている」と話し、練習参加での好パフォーマンスが獲得決定の後押しとなったことを明かした。

　入団内定後、昌平高の練習を取材に訪れると、松本は「佐藤寿人さんがすごく親切にしてくれた。緊張しているのが分かっていたのだと思うけど、最初から話しかけてくれたり、一緒にいてくれたりして嬉しかった。おかげで、すぐにほかの選手とも打ち解けられた。優しい人ばかりで、フレンドリーに接してもらえた」と広島での練習参加を笑顔で振り返ったが、プレー面での手ごたえについて話を聞くと「プロでは2つ、3つ先の展開を読んだプレーが必要。広島での練習は、すごく頭が疲れた。学校に戻ってからは、トラップでボールを置く位置に今まで以上にこだわるようにしている。トラップの後にボールタッチをして置き直していると、プロではプレッシャーを受けてしまうし、パスコースも消されてパスを受けた選手が奪われてしまう。最初のタッチをしっかりと決めないといけない。それに、攻撃は評価されたけど、守備ではかなり課題があると感じた」と厳しい表情に変わった。刺激的な練習参加を経て、すでに来季に向けた準備を含めた練習に取り組んでいる。

　当面の目標は、高校入学時に目標とした日本一達成。月末から埼玉県予選が始まる高校選手権で再び全国の舞台に立てるか。来季以降のプロ生活にはやる気持ちを切り替え、高校生活最後の大勝負に挑む。