【連載 第2回】「勝利への執念」と「理論」を融合させた市船・朝岡隆蔵監督のサッカー観 “納得できなければ、選手は動かない”

連載企画第二回、市立船橋高等学校サッカー部朝岡隆蔵監督の指導理論はどのように育まれたのか。

田中瑠子| Photo by Shidu Murai , Editor|シリーズ:高校サッカー部探訪記

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強い市船の伝統を守りながらも、進化を続ける

「二人は、サッカーを理屈で考え、原理原則に目を向けて練習を組み立てていました。そこで初めて、今まで自分がやってきたサッカーを理論的に振り返ることができ、パズルが解けたような感覚を味わったのです。サッカーについて議論するのが本当に楽しくて、こんな風にサッカーを説明できれば、選手たちも納得して練習に向かえるはずだと確信しました。今の自分があるのは、山本さんと二木さんのおかげなんです」

 その後、クラブチームの立ち上げを経て、2008年に市船のコーチに、11年に監督に就任。選手自身が「自分たちの力でうまくなった」と思えるような環境づくりを心がけてきた。

「何か指示をするときも『こういう理由があるから、やってほしい』と、選手が納得して動けるまで論理的に説明します。自分たちが、自分の意志でやっているという世界を作らなければ、サッカーはつまらない。指導者の自己満足になってはいけません」

「そうは言っても、『もっと気合を見せろ!』『根性が足りない!』と感じるときもあります」と笑う朝岡監督。

「常勝・市船として勝ちへの執念は、伝統校として失くしてはいけないし、否定するつもりもありません。でも、そこにテクニカルを融合させていかなければ進化はない。『柔軟性・多様性・適応性』という現在の市船が大事にしているサッカー観をチームで共有しながら、戦うマインドを持ちながらも、サッカーを理解する力を鍛えていきたいと思っています」

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