[高校サッカー 心を揺さぶる物語]ユニフォームを着ることの喜び-後篇-

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by Editor

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■すべてが僕の人生の糧

 ピッチの外から見る風景と、中から見る風景はまったく違った。
 すごく幸せな時間だった。

 そして、監督は高校生活最後の試合で、最高のプレゼントをくれた。
 9月の練習試合。3年生の一部は受験のためにこの試合でサッカー部を引退する。

 僕もその一人だった。

「このユニフォームを着てやるぞ」

 監督が僕らに手渡したのは、公式戦用のユニフォーム。
 練習試合では決して着ることができないものだった。

 僕は途中出場で、20分間プレーした。
 ずっと憧れ続けていたユニフォームでのプレー。すべてのシーンが記憶に焼きついている。

 まさかこのユニフォームを着れる日が来るとは思わなかった。
 サッカーを辞めなくてよかった。

 3年間やってきて、監督とこの仲間たちとサッカーをやれて、本当によかった。
 心の底からそう思えた。

 僕は今、志望校の合格に向けて、受験勉強に打ち込んでいる。
 腰の大ケガ、父親の死、高校では心を打ち砕かれるような経験をした。

 どんなに辛いことがあっても、受け止めて前に進んでいかなければならない。
 すべてを僕の人生の糧にして、生きていこうと思う。

[おわり]

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