久保ら攻撃陣だけでない、U-16代表の特筆すべき守備力。瀬古と菅原が示したタフさと闘志

準々決勝を前に、森山佳郎監督がこう予想した通り、大一番の日本は非常に苦しい戦いを余儀なくされた

元川悦子| Photo by 佐藤博之 Hiroyuki Sato

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■狙っていた相手GKのポロリ。作戦通りの先制点

世界大会出場を決めて歓喜する選手たち
Photo by 佐藤博之 Hiroyuki Sato

「(グループリーグ)3戦とも沢山の得点で勝てたけど、そういう自分たちのイメージを払拭して、(次のUAE戦は)ホントにタフな1点を争うゲームになると。もしかしたら事故で失点するところからスタートするようなゲームになる可能性も十分あると覚悟して、試合にのぞみたいなと思います」

 2大会ぶりのU-17W杯出場権獲得のかかる25日の2016年AFC・U-16選手権(インド・ゴア)準々決勝を前に、森山佳郎監督がこう予想した通り、大一番の日本は非常に苦しい戦いを余儀なくされた。

 試合の入り自体は悪くなかった。開始早々から主導権を握った日本は、久保建英(FC東京U-18)が指揮官の指示通りの仕掛けから右サイドでFKを得た前半8分の場面、同じく久保が得意のドリブル突破からシュートに持ち込んだ26分の決定機など、得点につながりそうなシーンをたびたび作った。守備陣も瀬古歩夢(C大阪U-18)中心に組織的かつ泥臭い守りで相手を跳ね返し、UAEの素早いカウンターを出させなかった。

 そして前半30分。久保の右CKを相手GKアルハレスがキャッチし損ね、こぼれ球に鋭く反応した瀬古が右足でゴール。待望の先制点を手に入れた。

「自分は(CKを相手に)取られたかなと思って引き上げようとしたんですけど、歓声が聞こえて、見たらGKがこぼしていた。これチャンスだなと思ったら、瀬古選手がしっかり決めてくれた」と久保が言えば、瀬古も「昨日のミーティングでもGKがこぼすっていうのは話がありました。そこを狙って得点を決めたことはすごくよかったと思います」と満面の笑みを見せる。森山監督の指摘を忠実に実践した結果、彼らは相手のミスから貴重な1点をモノにしたのである。

 だが、ここから先の日本は得点機を再三にわたって逃し、徐々に窮地に追い込まれる。後半突入後はUAEも攻めを加速させ、日本陣内で危険な場面も増えてきた。

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