[高校サッカー 心を揺さぶる物語]フリーキックに魅せられて <前篇>
[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します
スポンサーリンク■フリーキック練習での工夫
もちろん練習はした。
でもフリーキックの練習に時間を割けない事情があった。
実は、僕の学校は練習グラウンドをほかのところから間借りをしている。それどころか、校舎自体も間借りをしている状態だ。
なぜかというと、僕が入学する直前に起こった東日本大震災によって、学校のグラウンドが使えなくなってしまったからだ。学校は警戒区域だったこともあり、未だに戻ることはできない。
時にはバスで片道1時間をかけて、他県のグラウンドまで行って練習することもある。
グラウンドを使うのにも、常に使用時間が決められているから、限られた時間内で練習を終えないといけない。練習時間は、チームの全体練習をやるだけでほとんど終わってしまう。
時間がとれない中でも工夫して、フリーキックの練習はしていた。
たとえば、試合前のアップではなるべくロングボールを蹴るようにしていて、インステップではなく、インサイドを使って巻いたボールを蹴ってみたりした。
練習試合でも自分が出場しないときは、グラウンドの端にボールを置いて、助走の歩数を数えながらどのタイミングで蹴るのがベストか、イメージトレーニングを行った。
無駄にできる時間はない。
常に自分のキックの感覚を磨くように意識していた。
[後編につづく]