[高校サッカー 心を揺さぶる物語]ユニフォームを着ることの喜び-後篇-

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by Editor

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■チームメイトは泣きそうな表情をしていた

 春休みの終わりを待たずに、父親は他界した――。
 病院で父親の最期を看取った。
 辛かった。

 僕はもっともっと強くならないといけない。母親のほかに歳が2つ離れた弟もいる。家族の中でも頼れる存在にならないといけない。
 勉強も、リハビリも、サッカーも全力でやるしかない。

 約1ヶ月ぶりにサッカー部に顔を出した。

「何で言ってくれなかったんだよ!」

 チームメイトは泣きそうな表情をしていた。
 父親のことは、監督とキャプテンにしか伝えていなかった。みんなには「リハビリに専念するため」としか言っていなかった。

「言ってくれたらもっと何かしてあげられたのに……」
「仲間なんだから、正直に言ってくれよ」

 みんなの温かさに、僕は本当に救われる思いだった。

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