[高校サッカー 心を揺さぶる物語]フリーキックに魅せられて <前篇>

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by |シリーズ:[高校サッカー 心を揺さぶる物語]

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■先輩、僕にも蹴らせてください!

 何度か試合中に、「先輩、僕にも蹴らせてください!」と自己主張をしてみた。
 でもいつも「ここは俺が蹴る」と言われてしまう。

 先輩のフリーキックはチームの得点源になっていたから、さすがに無理は言えなかった。
 そして、僕らが最高学年になる年がやってきた。

 新チームになって最初の公式戦となる5月の新人戦。僕らは決勝までコマを進め、あの京堂高校とぶつかった。
 同級生には左利きでキックのうまい奴がいたけど、フリーキックを得たとき、「俺が蹴りたい」とすぐにボールに駆け寄った。
 ボールをセットして右足を振り抜くと、ボールはゴールに吸い込まれた。

 試合は1 -2で負けて、またもや準優勝に終わってしまったが、フリーキックで得
点することができた。

「チームの中でフリーキックを蹴るのは俺だ!」

 その思いは自信となって、自分の中で確固としたものになった。でも……、このゴール以降、僕のフリーキックはまったく入らなくなってしまった。

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