[高校サッカー 心を揺さぶる物語]155cmのゴールキーパー-後篇-

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by Editor|シリーズ:[高校サッカー 心を揺さぶる物語]

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■僕はこの身長でよかったと思う

 ミスをした自分に、仲間は感謝の言葉をくれた。申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

「僕のせいで、負けてすみませんでした……」

 僕は監督に声を振り絞りながら言った。

「何を言ってるんだ。今までお前に何度助けられたことか。こっちこそ何もしてあげられなくてすまなかった。本当にありがとう」

 涙が止まらなかった。

 高校の3年間がかけがえのないものであったことを再認識することができた。
 監督、仲間たち、すべてに感謝ができる3年間だった。

 あれから数年が経った。
 今、僕は地元でサラリーマンをしている。高校卒業後、サッカーは辞めて、今は妻も子供もいる。

 身長は……、残念ながらあのころのままだ(笑)。
 155cmのゴールキーパー。当たり前だけど、この身長じゃ、プロの選手になることはできない。
 
 でも、僕はこの身長でよかったと思う。
 だって、身長が低いからこそ、僕はいろんな工夫や努力をすることの意味がわかった。そして何よりも、身長が低い僕にゴールキーパーを任せてくれた素晴らしい監督、仲間と出会うことができた。
 
 僕にとって、あの3年間は今でも大切な宝物になっている。
 今なら胸を張って言える。

「身長が伸びなくてよかった」って。
 
 それが、「もし、僕が190cm以上あったら、どんな人生になっていたのだろう」の明確な答えなんだ。

[おわり]

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