【連載 第2回】流経柏・本田裕一郎監督 INTERVIEW/ユース育成の指導を考える。指導者、選手、環境はどのように変わったのか。

流通経済大学付属柏高等学校で、多くのプロ選手を育ててきた本田裕一郎監督の言葉を紹介する

元川悦子| Photo by 村井詩都 Shidu Murai

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名将・小嶺忠敏に学んだこと

Photo by 村井詩都 Shidu Murai

――本田先生はこれまで何人もの指導者に出会ったと思いますが、そういう人たちに学ぶものとはどのようなものでしょうか?

「再三言っていますが、第一に情熱でしょうね。いまは負けてクオリティーにこだわっている人がいます。そうじゃないと。絶対に勝としてからクオリティーにこだわること。そして選手の個性を見極め、伸ばしてやれる能力。

 例えば、10数年前に高校総体、前日本ユース(現在の高円宮杯プレミアリーグの前身)、高校選手権の三冠を達成した国見の小嶺忠敏先生(現長崎総合科学大学附属監督)は、ロングボールを蹴り出すスタイルを採ったことで、各方面から批判されました。ただここには私なりの意見として批判する側の人たちに『では勝ってみろ』と言いたい。負けて悔しいのだろうけれど、『あのサッカーはないよ、あれではいい選手が育たない』ではなくて、“勝つ” ことから選手は育ったのです。

 当時のチームには長身の平山相太(FC東京)がいましたから、そのやり方が勝利に一番近いと先生は考えた。ゆえにそのスタイルを採ったんだと思います。実際、あの頃のメンバーには大久保嘉人(川崎フロンターレ)や兵藤慎剛(横浜F・マリノス)のように体力的側面とテクニックに秀でた選手もいて、ものすごくボール扱いにも長けていて、パスをつなぐスタイルもできたはず。

 それをあえてせず、戦術的にシンプルなサッカーを選んで国見は勝った。さらに彼らにはよりクオリティーがあり、プロとしてもその姿が観たくなる存在だった。だからこそ大久保や兵藤、平山といった選手が現在もプレーを示せているのだと思います。やはり勝たせるチーム作りを徹底できるのが一番優秀な指導者。そのための練習を考えていくことが重要だと感じます」

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