【静学スタイルの真髄】サッカーインテリジェンスとは何か。 元サッカー部監督・井田勝通の教え!

昭和54年に日本で開催されたワールドユース(U-20世界世界選手権)で優勝したアルゼンチンのメノッティ監督もこういうことも話していた

井田勝通| Photo by 佐藤博之

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■まずはボールコントロールを完璧に

 一口にインテリジェンスという言葉を口にするのは簡単だが、実際にそういうチームを作り上げた経験はほとんどない。テクニックとインテリジェンスのある選手を作り、選手たちのその重要性を理解させることは非常にハードルが高い。何よりも時間のかかる仕事だ。
 
 日本サッカー界は小学生からプロ、日本代表まで、つねにゴールへの最短距離を行こうとするサッカーばかりが目につく。だが、近道は必ずしも最短距離だけではないことは歴史が証明している。時には回り道をしてもいいから、独創的な視点を持つことも大切だ。

 日本サッカーの大きな欠点の1つは、遊びがないこと。車のハンドルやブレーキにも遊びは備わっているが、それがなければ大変なことにつながる。
 
 サッカーも右へ行ったり、左へ行ったり、こっちへ向かったり、また戻ったりという遊びがあれば、相手の集中力を途切れさせることができるし、一瞬のスキからゴールをうかがえる可能性も広がる。
 
 とにかく、いつもフルスピードばかりでは成功しがたいのが、サッカーだ。ある時はゆっくり、ある時は止まる、またある時は歩いて、背を向ける。そういうリズムの変化をつけられるようなインテリジェンスある選手、チームを育てるためにも、まずはボールコントロールを完璧に身につけるところが第一歩。
 
 そこだけは絶対に譲れない条件だと、俺は強く思う。

井田勝通(いだ・まさみち)
静岡学園サッカー部元監督。1972年、静岡学園サッカー部監督に就任し、2009年に退任するまでに高校サッカー選手権優勝や60人以上のJリーガーを輩出するなど、多くの業績を残した。技術に特化しながら”個”を伸ばす育成は”静学スタイル”として知れ渡り、プロ選手や、指導者に受け継がれている。退任後も、静岡学園中高サッカー部エキスパートアドバイザーやNPO法人岡部スポーツクラブGMを務めている。

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