[高校サッカー 心を揺さぶる物語]いつも親父がいてくれた <前篇>
[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します
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親父が末期ガンだと知ったのは、高校2年の夏前のことだった――。
僕のサッカー人生にはいつも親父がいた。
親父は小学生のサッカークラブの監督を務めていて、僕はそこでサッカーを始めた。
親父はサッカーに対して情熱的で、家に帰ってからも個人練習があった。
「インサイドキックはこう蹴るんだ!」
「周りを見ながらプレーするんだ!」
「トラップが何よりも大事だ!」
親父からサッカーの基礎を徹底して教え込まれた。
中学のサッカー部では、今までの親父との練習の成果もあって、チームの中心としてプレーしていた。
高校は、親父に勧められてセレクションを受けて、地元の強豪校に入った。
親父のことを正直うっとうしいなぁと思うこともあったけど、サッカーについては親父のアドバイスを頼りにしていたし、時には熱いサッカー談議を交わすこともあった。
高校サッカー部を率いる角谷監督は、地元では厳格な指導者として知られていた。
実は、角谷監督は僕の親父の親友でもあった。2人は同級生で、高校時代は選抜チームでコンビを組んでいたらしい。
つまり、監督にしてみれば、僕は親友の息子にあたるわけだ。
でも、だからといって優遇されることはまったくなくて、毎日厳しい指導が続いた。
練習ではレベルによって、A、Bとチーム分けされていた。
1年のときはAチームなんて程遠い状態。周りの選手のレベルも高くて、必死に食らついていくだけで精いっぱいだった。それでも、2年になると必死にやってきたことが評価されたのか、Aチームで練習することもあった。
「絶対にレギュラーを取ってやる!!」
気合いを入れてサッカーに打ち込む日々。
そのときだった――。親父が病気であることを告げられたのは。