[高校サッカー 心を揺さぶる物語]いつも親父がいてくれた <前篇>

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by Editor|シリーズ:[高校サッカー 心を揺さぶる物語]

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■悲願の選手権出場

 チームは選手権の予選で快進撃を続け、決勝まで勝ち上がっていった。

 初の選手権出場を賭けて臨んだ決勝戦。

 僕は相変わらずスタンドにいた。

 そして……、僕の親父もスタンドにいた。

 もちろん、親父の状態は良くない。それでも車椅子に座って、親友が率いるチームを応援し、悲願達成の瞬間を心待ちに見つめていた。
 
 チームは決勝で勝利し、選手権出場を達成した。

 親父は誰よりも喜んでいた。

「角谷、やったな!! おめでとう!」

 親父は車椅子から立ち上がっていた。立っていられるような状態ではなかったのに、親父はスタンドから角谷監督に大きな声をかけた。角谷監督は大きくガッツポーズを見せた。
 
 弱っている身体に鞭打ってでも、夢を叶えた親友に対し、自分の声で祝福をしたかったのだろう。親父の熱い気持ちが伝わってきた。

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