[高校サッカー 心を揺さぶる物語]いつも親父がいてくれた <後篇>
[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーの後篇を紹介します
スポンサーリンク■父と共にスタジアムへ
「まだ早朝ですから、道も空いていますし、最後に行かせたかった場所に行ってもかまいませんよ」
運転する業者さんが言ってくれた。
「……じゃあ、スタジアムに行ってください」
親父には僕らの試合を見てほしかった。それが叶わなくなった今、せめて試合が行われるスタジアムだけでも親父に見てもらいたかった。
朝5時。
僕らはスタジアムに着いた。
そのとき、それまでずっと仰向けで上を向いていた親父の顔が、スタジアムの方を向いた。
「うわ! 動いた!!」
僕は思わず声を挙げてしまったが、やっぱり親父はここに来たかったんだと思った。
「慶人と一緒にここに来たかったんだな。良かったね、一緒に来ることができて……」
叔父さんの一言に、僕は堪えきれなくなった。せきを切ったように涙があふれてきた。
親父が死んでから、初めて流れた涙だった。