[高校サッカー 心を揺さぶる物語]いつも親父がいてくれた <後篇>
[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーの後篇を紹介します
スポンサーリンク ピッチにいる選手たちも、ベンチにいる選手たちも、みんなが僕のもとに集まって
きてくれた。
「よかったな! 本当によかった!!」
涙を流す仲間もいた。
そして、僕はいきなり監督に抱きしめられた。
「がんばったな!! お前、本当にがんばったな!!」
角谷監督も泣いていた。仲間たちも次々と抱きついてきた。僕は泣いていないのに、なぜか周りはみんな泣いている。
不思議な光景だった。
僕は監督や仲間との絆を強く感じた。
僕らは2回戦で敗れ、高校サッカー生活は幕を閉じた。
後から聞いた話だが、親父は僕を角谷監督に預けるとき、「俺のことは一切関係ないからな。お前に預けた以上は、好きにやってくれ。お前がダメだと思ったらダメだし、お前の判断に全部委ねるぞ」と言っていたらしい。
角谷監督は3年間ずっと親友である親父との約束を守り抜いてくれた。
僕を病室に残してくれたのも、親父の本音を監督が理解していたからだった。
あのとき、親父は亡くなるのが先か、僕が到着するのが先かという状態だったそうだ。でも、僕が来たとたんに意識を取り戻したという。
やっぱり親父の死に目に立ち会えてよかったと、心から思っている。会わせてくれ
た監督には、感謝の念でいっぱいだ。
そして今、僕は小学校の教員をやっている。子どもたちには僕が経験したことを話したりして、「家族の大切さ」や「仲間との絆」を伝えている。
こうして親父と同じように子どもと接していると、やっぱり僕は親父の背中を見て
育ってきたんだなと思う。
何かに迷ったとき、親父だったらどう言うのか、どう行動するのかを考える。
今も、親父は僕の心の中にいる。
[おわり]