[高校サッカー 心を揺さぶる物語]僕らの声は届いたか-前篇-
[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーを紹介します
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■「お願いです。選手権前にお見舞いだけでも行かせてください」
時間が経っても、有村さんの状況はわからないままだった。
有村さんは僕らが選手権の舞台に立つことを楽しみにしてくれていた……。
僕は、いてもたってもいられなくなった。
「お願いです。選手権前にお見舞いだけでも行かせてください」
断られることは覚悟の上で、僕は監督に直談判した。
監督は、しばらく黙り込んだ後、「みんなでお見舞いに行けるように考えてみる」と言ってくれた。
12月のクリスマス前。
練習後、僕らはバスで有村さんが入院する病院に向かった。数人ずつグループ分けをして、順番に病室に入ることになった。
僕は最初のグループだった。
病室のドアを開けると、そこにはベッドで仰向けになっている有村さんの姿があった。人工呼吸器がつけられていて、目は閉じたままだった。