満足なきエースの想い。鹿島学園の苦境を救った上田綺世にとっての2ゴール

31日(土)に行われた高校サッカー選手権一回戦、茨城県代表の鹿島学園のエース上田綺世が輝きを放った

舩木渉| Photo by Editor

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■茨城県リーグ1部で圧巻の33ゴール

 今年の茨城県リーグ1部で圧巻の33ゴールを奪い、先日行われたプリンスリーグ関東参入決定戦でも3ゴール1アシストの活躍でチームを昇格に導いた上田は、鹿島学園の鈴木雅人監督が「エースというより絶対的エース」と絶大な信頼を寄せるストライカーだ。

 スピードとドリブルを武器としながら、長身でヘディングでの競り合いにも強く、シュートのバリエーションも豊富に持つ。そして何よりも「ゴールを取ることしか考えていない」と本人が語るように、得点を奪うことへの貪欲さがケタ違いに強い。

「常に右足、左足、頭が同じような精度で蹴れるように練習から意識している」という上田は、どんな時でも自分でシュートを撃つことを意識してプレーしている。ただし、エゴイスティックなわけではなく、「どんな局面でも点を取れるような、苦しい状況で点を取ってチームを助けられるようなプレーヤーになりたいと思ってずっとやってきた」と語る通りチームのために戦える選手でもある。

 高川学園戦では自分のイメージした通りの形で2ゴールを挙げたが、全く満足していない。前半からチーム全体が守勢に回る中で、自分がロングボールをうまく収められなかったことや、前線でボールキープできなかったことを心の底から悔やんでいた。

 エースとしての仕事を果たしたにもかかわらず、自分のゴールを喜ぶよりも「守備の選手が頑張ってヘディングとかで跳ね返してくれたのに対して、僕はちょっと不甲斐ないプレーが多かった」と言える選手はなかなかいないだろう。

 ゴールへのこだわりは人一倍強い。だが、目標とする数字や記録を一切気にせず、あくまでチームの勝利のための得点を追求するのも上田らしさと言えるかもしれない。ゴールを奪うためには自分だけでなく仲間たちの力が必要不可欠であることをしっかりと理解している。

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