[高校サッカー 心を揺さぶる物語]いつも親父がいてくれた <後篇>
[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーの後篇を紹介します
スポンサーリンク■親父は静かに息を引き取った
日付が変わり、選手権初戦の日の午前2時。
親父は静かに息を引き取った。
亡くなる直前、親父は僕に本音を聞かせてくれた。
「慶人が……来てくれて、本当に良かった……」
それが親父の最後の言葉だった。
僕は泣かなかった。
以前、おじいちゃんが亡くなったとき、みんな泣いているのに、喪主である親父は涙を見せなかった。
小学3年生だった僕は、「お父さん、何で泣かないの?」と聞いた。
「泣いてその人が生き返るんだったら泣くけど、そうじゃないんだったら、泣く必要はないだろ」
親父の言葉が、僕の頭の中にずっと残っていた。だから僕は親父が死んでも絶対に泣かないと決めていた。
しばらくして、僕は角谷監督に電話を入れて、父の死を告げた。
「もう俺たちは戦うしかない! お前も大事なチームの一員なんだから、来ることができるなら、スタジアムに来い!」
角谷監督からの熱いメッセージが心強かった。
親父は霊きゅう車に乗せられた。
母親と叔父が同乗し、僕は親父の遺体の横に座った。
病院から家まで、車で2時間はかかる。
静かに霊きゅう車は動き出した。