[高校サッカー 心を揺さぶる物語]いつも親父がいてくれた <後篇>

[高校サッカー 心を揺さぶる物語]全国で本当にあった涙の青春ストーリーの後篇を紹介します

監修・執筆 安藤隆人| Photo by Editor|シリーズ:[高校サッカー 心を揺さぶる物語]

スポンサーリンク
■運命のメンバー発表

 僕は控え選手のアップの手伝いをしながら、ピッチにいるチームメイトに声をかけた。

 1-2。

 1点リードを許したまま、試合は後半ロスタイムに突入した。
 でも、誰ひとり諦めずに、点を取ろうとしていた。もちろん僕も一緒に戦っていた。

「ワアアアアアアアア!!」

 試合終了間際、同点ゴールが決まった!
 そして勝負はそのままPK戦にもつれ込んだ。
 PK戦、僕らはベンチ前で、全員で肩を組んで勝利を祈った。
 
 すると、空から雪が降ってきた。
 僕は天を見上げた。

〝一度に2つも大切なものを失いたくない!〞

 本心だった。親父も失って、チームも失ったら嫌だ。心からそう思った。

「イヤだ! イヤだ!!」

 僕は無意識のうちに声を出していた。

「慶人、大丈夫だ! 俺たちは絶対に勝つよ!」
「みんなお前のために絶対に勝ってくれるぞ!」

 周りの仲間が言ってくれた。

「大丈夫だ、慶人! 仲間を信じろ!」

 角谷監督も声をかけてくれた。
 そうだ、僕には信頼できる監督と素晴らしい仲間がいる。
 信じよう。

 そして――。

 仲間のキックがゴールに突き刺さった。その瞬間、2回戦進出が決まった。

1 2 3 4 5 6 7
PAGE TOP ↑