柿谷や南野らが背負った“エース”の重責を受け継ぐ者。U-16日本代表最年長・山田寛人(C大阪)が証明すべきストライカーとしての存在意義

C大阪出身の柿谷曜一朗はAFCU-17選手権でMVP獲得。南野拓実はU-16選手権の得点王に輝いた。同門のFW山田寛人もまた後継者としてエースとなる可能性を秘める

元川悦子| Photo by 佐藤博之 Hiroyuk Sato , 元川悦子 Etsuko Motokawa

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■セレッソ大阪U-18の看板を背負って大会に参加しているプライド

山田寛人は“00ジャパン”において最年長の高校2年生
Photo by 元川悦子 Etsuko Motokawa

「得点の際、玲がパスをくれた時は、建英も目の前にいてどちらかに打たせるか選択する場面でした。(そこは)自分がすごく決めたかったので、建英より前に出て振りぬくことだけを考えて打ちました。だけど前半はシュートを打てず、リズムに乗れませんでした。2トップを組んだ大聖(宮代=川崎フロンターレU-18)も困っていたと思います。ハーフタイムに斎藤(俊秀コーチ)さんから『とりあえずシュート打って自分の流れを作れ』と言われ、後半から流れを持っていくことができましたけど、自分はもっと点を取りたいし、チームをラクにさせて勝ちたいです」と山田は自ら課題を口にするとともに、貪欲なゴールへのこだわりをにじませ力強く自身の活躍を誓った。

 ゴールラッシュを目論むのはセレッソ大阪U-18の看板を背負って大会に参加しているプライドに他ならない。かつて同クラブから、柿谷曜一朗や杉本健勇(ともにC大阪)、南野拓実(ザルツブルク)といった面々が過去のAFC・U-16選手権に出場。各アンダーカテゴリー代表のエースとして存在感を見せ、チームを世界へ導いた。とりわけ柿谷が、06年のシンガポール大会で残したインパクトは絶大で、10歳年の離れた山田も当時の活躍を映像で目の当たりにしている。

「(10年前の大会の)柿谷選手のゴールを見ましたが、同じ年代であれだけの仕事ができることはやはりすごい。(大舞台で)全然緊張してなさそうに見えました。柿谷選手や南野選手、杉本選手といった選手にはすごい憧れますし、セレッソの育成が注目されている中で、自分も頑張って結果残して、どんどん海外に行って活躍しないとダメ。今回の予選を突破して絶対に世界大会に出て、南野選手みたいに早く海外に行ってやることが一番だと思います」と数多くの選手を輩出する育成において伝統あるクラブ育ちの若武者は、選ばれた選手としての重責を認識し、先人に自身の姿を重ねる。

 今回のU-16日本代表はセレッソ大阪のユースアカデミー所属選手が6名選出されている。ベトナム戦のピッチには、山田を含めて、瀬古歩夢、喜田陽の3名がスタメンとして立ったが、鈴木冬一、谷本駿介、松本凪夫の3名も活躍に触発されるように虎視眈々と出番を窺っている。

 セレッソ大阪のクラブ史上に残る最高傑作として、また最大人数が選出された育成の名門の一員として、彼ら一人ひとりの双肩には00ジャパンの命運すらも委ねられている。

 6名のなかでも、代表チームにおいても最年長の高校2年生。けん引役となるべき山田には決勝トーナメント進出がかかるキルギス、オーストラリア戦での活躍はもちろん。世界の舞台へ羽ばたき、ミレニアム世代のトップランナーとして常に結果を果たすべき選手であることは間違いない。だからこそ過去に柿谷や南野らが歩んだ“エース”の責任を担うプレーヤーであり、“ゴール”という結果による“チームの勝利”を宿命付けられている存在なのだ。

(取材・文:元川悦子【ゴア】)

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