【ユースプレーヤー成長期】サッカー少年に”憧れ”を与える使命。桐光学園3年・鳥海芳樹が歩んだ過去

全国高校サッカー選手権大会における神奈川県代表の桐光学園。攻撃を操り、10番を背負う鳥海芳樹が成長を遂げてきた少年時代の原点を訪ねてみた

山本浩之| Photo by 山本浩之 Hiroyuki Yamamoto|シリーズ:ユースプレーヤー成長記

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人生初の試合でハットトリック、小学生時代の原点

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桐光学園3年・鳥海芳樹選手。村岡キッカーズに所属していた小学生時代(左)、そして現在(右)
Photo by 村岡キッカーズ提供 , 山本浩之 Hiroyuki Yamamoto

『第95回全国高校サッカー選手権大会』の神奈川県代表となった桐光学園で10番を背負う鳥海芳樹。彼がいかに優れたプレーヤーであるかは、すでに各メディアが報じており、その記事から知ることができる。だからここでは、まだあまり知られていない彼の原点を訪ねてみることにしよう。

 神奈川県藤沢市の秋葉台公園球技場。夜半から降り続く雨で人工芝のグラウンドはすっかりと湿っていたが、それでも土曜日の朝早くからトレセンの練習にスタッフと選手が集まっていた。そのなかに鳥海芳樹が小学生時代を過ごした村岡キッカーズの鴻野久雄総監督と河原崎啓太コーチの姿があった。

「はじめて会ったときのことですか? もう10年も前のことですからね。ちょっと細かいところまでは覚えてないけれど、才能があるんじゃないかなというのは思っていましたよ。入ったときから上手かったですよね。突破力とスピードがあった。それだけじゃなくて周りの状況もしっかり見えていたからパスも出せるわけです。だから対戦するチームの子は戸惑うんですよ」(鴻野総監督)

「そうですね、スピードとテクニックはずば抜けていました。あと、なかなか倒れなかった。ボディバランスがいいんでしょうね。ひとりでどんどん行けるタイプでした」(河原崎コーチ)

 鳥海が村岡キッカーズに入団したのは小学2年生のこと。友人に誘われたのがきっかけだった。確かに小学生のときは足が速いほうだったと本人も言う。自分で前に蹴ったボールに走って追いついてゴールを決めたこともあった。「つまり自分で自分にパスをするみたいな感じです」と冗談めかして笑う。そんな鳥海が、小学生のときに一番思い出に残っていることとして即答してくれたのは、こんなエピソードだった。

「チームに入って初めての試合でハットトリックをしたんです。木曜日に村岡キッカーズに入って、その週の土曜日の試合です。(今も鮮明に覚えているのは)やっぱり点を決めることで自信になって成長していくからだと思うんです。だから、今でも目に見える結果(ゴール)というのは大切にしたいと思っています。このときのハットトリックが自分の原点? まぁ、そうですね」(鳥海)

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