【注目の選手権出場校】継承された知略と進化した姿。大分高校躍進のカギを握る司令塔・永松涼介とボランチ・神田尚輝
2011年の選手権では県勢初のベスト4となった大分高校。2年連続9回目、今年も全国の舞台に立つ。再び全国の舞台で躍進を狙うチームの姿とは
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継承された知略と進化とは何か
大分高校サッカー部の川崎元気現監督(左)と朴英雄前監督(右)
Photo by Hinatsu Higurashi
「攻撃に関しては選手たちも自信をもって取り組めていると思うが、高い位置でプレーする以上、リスクも生じる。相手に判断する余裕を与えないよう攻守の切り替えの早さも求めているが、そのなかで神田は、攻撃時のリスクマネジメントと、守備から攻撃への切り替えにおいて、つねに確実なポジショニングを取っている」
神田のポジショニング意識の高さは、前監督時代に培ったものだ。「ボランチと最終ラインでブロックを作り、相手の攻撃状況によってひたすらプレッシャーとスライドを繰り返すメニューで身につけました」と、体の向きを含め10センチ単位でポジショニングを徹底的に指導された経験を振り返る。
初戦の相手・岐阜県代表中京高校との戦いでは、バイタルエリアでのセカンドボール奪取がポイントのひとつになると予想される。意表を突くミドルシュートも警戒しなくてはならない。それに直結する役割を担う神田の働きが注目される。
細かい戦術練習によりインテリジェンスを高めたチームを朴前監督から引き継いだ川崎監督は、さらに「“やらされるサッカー”から“やるサッカー”へ」と、そのインテリジェンスの応用を選手たちに課した。「いかに戦術的知識が長けていても、相手が上手ければやられてしまう。全国で勝ち上がるためには、試合中に相手の状況を見ながら自ら判断してプレーする力を身につけなくてはならない」と、ポゼッションやゴール前での局面を想定したメニューに重点を置く。
主将としてもチームを率いる永松は「ピッチで戦うのは選手。もっと自分たちから発信していこう」と選手間ミーティングを増やした。個々の戦術練習にこだわるとともに組織としての約束事を徹底した朴前監督の作ったチームに、さらに判断力を高め柔軟性を求める川崎監督の意向が反映され、大分高校はたくましさを増している。