【高校サッカー選手権ストーリー】富山第一FW・本村比呂が掲げた父への誓い
高校サッカー選手権における富山第一FW・本村比呂のストーリーを伝える
スポンサーリンク
■終わらない不屈のストライカーの戦い
初戦となった那覇西戦の後、家族への思いを力強く語っていたが、3回戦で東海大仰星の前に散った。しかし、母・明子さんはその言葉を聞いて「いまも家族のヒーロー」と息子の戦いぶりを誇りに感じている。
実は本村の「比呂(ひろ)」という名前は父が好きだった、あだち充原作の漫画『H2』の主人公「国見比呂」が由来で、「ヒーローになってほしい」という父の思いが込められていた。数多の困難や挫折を乗り越えて全国の舞台に立った息子は、家族にとって「ヒーロー」になった。
戦いを終えた本村は、目に大粒の涙を溜めながら語る。
「まずはいままでたくさんの人に支えてもらったことに感謝しています。とりあえず1回自分の気持ちをリセットしたい。まだ僕のサッカーは終わっていない。僕は小さいころからずっとお父さんを尊敬して、お父さんのようになりたいと思っていました。
お父さんは仕事で苦しいことがあったときも僕には笑顔で接してくれていましたが、僕は試合で調子が悪かったらお母さんに当たってしまうときがあった。そういうことはお父さんが絶対許さないと思う。今日も富山に帰ったらお母さんに笑顔で『ありがとう』と言えるように。もっと人間力を磨いて、プレーだけでなく精神力もプロになれるようにやっていきたいです」
試合前には必ず空を見上げ、「いってくるね」と父に声をかける。本村にとって高校サッカーは終わったが、今度はプロになるための長く険しい旅が始まる。「おかえり」と言ってくれる家族や父のように慕う恩師、仲間たちがいる限り、不屈のストライカーの戦いは終わらない。