JFAのYouth & Development Programmeによる『NIKE ACADEMY』トレーニングメソッド実施レポート

『NIKE ACADEMY』のメソッドに基づいたトレーニングがインターハイ王者の市立船橋高にむけて、練習場である法典公園(グラスポ)で実践・披露された

舩木渉| Photo by 舩木渉 Wataru Funaki

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日本人選手に通じる不得手

 課題を最初のメニューで明らかにする。各辺およそ20mの正方形を2つのエリアに分割し、それぞれに6人ずつ入る。片方のグループが6人パスを回し、もう片方のグループから2人がディフェンスとしてボールを奪いにいく。攻守を頻繁に交代しながら行う、誰もが経験したことのあるベーシックなトランジションゲーム。しばらくは選手たちを褒め、ポジティブな声をかけながら見ていたオリベイラ氏だったが、突然ゲームを止めて問いかけた。

「ボールを追っていない4人は何をしていた? ただ見ていただけか? 何かできることはなかったか?」

 この問いに選手達からはなかなか答えが出てこなかった。その末にオリベイラ氏が提示したのは「ボールを追う人が入れ替わってもいい。判断を早くしよう。ボールに近い人がプレッシャーをかけよう」ということだった。おおよそトランジションゲームをやる場合、ボールを追う選手と、ボール奪取を待つ選手は固定してしまう傾向にあり、“入れ替りながら”という発想は即座に出てこないのではないだろうか。だがオリベイラ氏はこの動きを禁止していなかった。ただ「2人でボールを追う」ことだけがルールだからだ。

 ルールを最大限に利用して賢く、自分に何ができるのか考え、実行する力、つまりオリベイラ氏の言う「②インテリジェンス」が日本の選手には欠けていることについて基礎的なオーガナイズで示していた。そこには「③ポジショニング」に対する指摘もあった。2人の味方がボールを奪いにいく時、待っている4人はどこに立って何をすべきか。またパス回しでボールを持った選手に対し、どこにいくつパスコースを作るか。最初は正確なポジションを取ることができていなかったが、市立船橋高校の選手たちもコーチの指摘で彼らもすぐに修正していく。

 次のメニューは攻撃側が数的優位の3対2で、試合中のゴール前でフィニッシュに持ち込む場面を想定したものだった。ここでは「⑥コンフィデンス」の教えが垣間みえる。

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